難関国家資格と言われる「行政書士」。
目指してみたいと思っても、難易度や合格率を考えると一歩引いちゃうのも事実ですよね。
本記事では、表面的な難易度や合格率だけじゃわからない行政書士の本当の難易度を紹介していきます。
この記事の目次
勉強時間からみる行政書士の難易度
行政書士合格に必要な勉強時間は約600時間と言われています。
宅建士よりは難しく、社労士よりは易しいといったレベルですね。
基本的に資格の難易度は「勉強時間=難易度」なので、勉強時間が多く必要な資格ほど難易度が高いといえます。
行政書士を目指す受験生の中には「司法書士」も視野にいれている人もいますが、司法書士は平均勉強時間が3,000時間も必要になる超難関資格ですので、行政書士を目指すとき以上の覚悟が必要になります。
ただ、司法書士の学習範囲の中に行政書士の試験範囲も含まれています。
そのため、600時間で行政書士に合格した人が司法書士を目指す場合2,400時間程度で合格できるかもしれません。
あくまで目安ですが、司法書士を目指す人は登竜門として行政書士を狙うのも良いでしょう。
行政書士になるための抜け道「公務員」
実は行政書士になるには抜け道があります。
それが「公務員として行政事務に20年以上(高校卒業者は17年)従事することで行政書士資格を付与する」といった決まりです。
公務員として働いているだけで行政書士の資格がもらえるのはちょっと羨ましいですよね。
ただ、20年間勤務する必要があるので、やはり1~2年間勉強して取得したほうが早く王道の方法です。
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統計データからみる行政書士の難易度・合格率
上記のグラフが行政書士の受験者数・合格率を推移で表したグラフです。
青の棒グラフは受験者数を表していますが、年々受験者が減少していることがわかります。
それに比べて合格者はほぼ一定の数を毎回出しています。
グレーの棒グラフ(合格率推移)を見るとわかるように、合格率は年々上昇しています。
税理士試験のように「上位10%が合格」というように相対評価で合格者数を決めていないので、これから行政書士を目指す人にとってはチャンスですね。
行政書士試験の特徴
行政書士の試験は絶対評価で合格者を決めているので、
試験がどれだけ簡単でも、まわりの受験生がどれだけ優秀でも180点/300点取れば絶対に合格です。
科目ごとの足切りラインはありますが、税理士や宅建士のような相対評価で合格点が決まる試験と比べて非常にわかりやすい試験です。
受験する年のまわりの受験生のレベルが高くて合格点が高くなるなんてことがありませんからね。
必要な学歴からみる行政書士の難易度
行政書士の試験は受験資格に学歴の制限がありません。
そのため、中卒でも東大卒と同じ土俵で戦うことができる完全実力勝負の資格試験です。
主婦・高卒・フリーターだれでもOK! 学歴不問の国家資格「行政書士」
資格取得後は学歴関係なくあなたの実力で仕事をすることができるのが「行政書士」の魅力です。
合格してしまえば最終学歴ではなく「行政書士」という肩書で勝負することになるのでこれまでの評価とは一変するでしょう。
独立すれば働きまくって年収を上げるも良し、空き時間だけ仕事するも良しあなたのライフスタイルにあわせて仕事を調整できます。
独立しなくとも、法律知識のアピールになるので企業の法務部への就職はしやすくなります。
最近は、独立する場合でも一度企業に就職して実務の知識を身に着けてから独立というパターンも多いです。
求人サイトで「行政書士」と検索すれば、行政書士を欲しがっている企業が見つかるので、合格後に一度就職を検討している人は検索してみると待遇等もわかるので、合格後のビジョンをイメージしやすくなりますよ。
行政書士を持っていなくても、行政書士を目指している学習意欲がある人材が欲しい企業もあるので勉強を並行しながら求人をチェックしておきましょう。
行政書士は偏差値が高い人だらけ…でもない?
公的なデータがないので、Facebookで「行政書士」とプロフィールにいれている人の学歴をチェックしてみました。
「中央大学法学部」「青山学院大学」「長崎県立大学」等々、偏差値が高いとされる高学歴の人はたくさんいましたが半数以上が学歴非公開でした。
公開している側の心理で考えると、高学歴だったらおそらく公開することのほうが多いハズですよね。
そう考えると、高学歴とは言えない学歴の人が一発逆転するために行政書士になり独立しているのかもしれません。
行政書士の本当の難易度
冒頭でも触れた通り、行政書士は平均600時間かけて勉強することで取得できる資格です。
簡単に合格できる資格ではありませんが、社会人として働きながら「独学」で合格できる資格です。
行政書士は独学で合格可能
600時間で合格できると仮定した場合、
ポイント
600時間 ÷ 365日 = 1.6時間/日
1年間時間が取れれば一日1.6時間で合格できる計算です。
1.6時間程度なら昼休みや通勤時間を使えば難しくないレベルなので、WEBテキスト等を使ってスキマの時間に少しづつ勉強していけば達成できるでしょう。
また、資格予備校に通うとわからない点をすぐに質問できたり、学習スケジュールを組んでくれるので、独学合格する自信がない受験生は予備校を検討するのも良いかもしれません。
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「民法」「行政法」を中心に勉強する
行政書士試験は法令46問(基礎法学・憲法・行政法・民法・商法)と一般知識14問(政治経済社会・情報通信個人情報保護・文章理解)の300点満点で構成されています。
範囲が広い行政書士試験で最も注力すべきなのは「行政法」「民法」です。
他に比べて難易度が低めで、更に問題数が多い科目なので、この2科目を中心に勉強することが行政書士試験を合格する近道と言えます。
ただ、一般知識で24点以上取らないと足切りを受けてしまうので、一般知識も最低限の勉強は必要になります。
足切りにだけ気を付け、「行政法」「民法」に集中するのが行政書士試験に最短で合格するための秘訣です。
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行政書士の就職の難易度
行政書士が就職先の多くは小規模の事務所です。
大きい企業に就職したい場合は行政書士の独占業務よりも、法律知識を活用して就職するパターンが多いので、必ずしも行政書士を取得しなくても勉強した知識さえあれば就職・転職できてしまうのも実情です。
企業が行政書士が必要な仕事が発生したときは自社で解決せず、外の行政書士に外注するため、企業内に行政書士を置く必要性が薄いのです。
そのため、行政書士を採用する場合でも正社員ではなく契約社員や派遣社員といった採用形態が多くなっています。
法務知識を生かすだけでなく行政書士として活躍したいのなら、就職ではなく独立を選ぶ必要があります。
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行政書士の独立の難易度
行政書士の単純な書類作成の依頼は年々減り続けています。
いまではインターネットで調べれば詳細な情報が載っていることも多く、わざわざ行政書士に頼らなくても許認可申請書の作成はできる時代になっています。
何も考えずに「行政書士」という肩書だけで仕事にありつける時代は終わりつつあります。
ただ、この状況下でも年収1000万円をゆうにこえる行政書士がいるのも事実です。
これからは勝ち組行政書士と負け組行政書士の差がどんどん開いていくでしょう。
では勝ち組行政書士は負け組行政書士と何が違うのか?
答えは得意な「専門領域」を持っているかどうかです。
経営の知識がある行政書士はコンサルティングをしながら行政書士としての仕事を請け負う。
語学に強い行政書士は翻訳をしつつ帰化等の申請業務を代行する等、もともと持っていた自分の強みを行政書士の仕事に上乗せして活躍しています。
専門領域を作り出すために中小企業診断士や宅建士等とのダブルライセンスを目指す行政書士も増えています。
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行政書士の難易度まとめ
総勉強時間600時間くらいで取得できる資格としてはコストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。
働きながらの独学でも取得できるギリギリのラインの努力次第で短期合格も可能な資格です。
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