・行政書士の試験科目ってどんなものがあるの?
・科目ごとに難しさが全然違うみたいだけど何に注力すれば良いの?
行政書士試験に興味を持つと試験科目ごとの特性にも興味がでてきますよね。
本記事では行政書士試験を短期間で合格するために、どの科目に力を入れるべきかの指針が立てられるような内容になっています。
行政書士試験の試験科目
行政書士試験は300点満点(60問)で6割の180点を取ることで合格できる絶対評価の試験です。
税理士や宅建士などの相対評価の試験と違い、180点を取れれば確実に合格できます。
受験した年が優秀な人ばかりで上位に入れなくて不合格…ということが起こらないので、運に左右されにくい公平な資格試験です。
試験科目は法令科目の5つと一般知識科目3つから構成されています。
科目ごとに配点や難易度が違うので、受験勉強をはじめる前に全体感を把握しておくことが大切です。
法令科目一覧
法令科目と一般知識科目からなる行政書士試験ですが、合格のカギを握るのは法令科目です。
行政書士試験300点のうち244点は法令科目から出題されます。
そして、法令科目の中でも特に重要なのが行政法(112点)と民法(76点)です。
この2科目は配点が高いだけでなく、他の科目と比較して難易度も低めなのでこれらを徹底的に勉強するのが短期合格のポイントになります。
基礎法学
出題数 | 配点 |
2問 | 8点 |
基礎法学は範囲が非常に広く、しかもつかみどころがない難易度の高い科目です。
配点が低く難易度が高いので決して力を入れるべき科目ではありません。
試験問題の一番最初に出題されるので、基礎法学から手を付けて挫折してしまう受験生もいるようですが、過去問を解き感触をつかむ程度で構いません。
行政書士として活動していく上であったほうが良い知識ですが、試験を攻略する上では必ずしも必要ではない科目です。
憲法
出題数 | 配点 |
6問 | 28点 |
配点は少な目ですが難易度が低いので行政法と民法の次に力を入れておきたい科目が憲法です。
憲法の主な範囲
①憲法総論…憲法の歴史・特質・基礎原理について
②人権…国民の基本的人権について
③統治…国会・内閣・裁判所などの国家統治について
②人権は範囲が広く勉強に時間がかかるので、余裕がない場合は①憲法総論と③統治を中心に攻めるとよいでしょう。
民法
出題数 | 配点 |
11問 | 76点 |
行政書士試験における民法は配点76点と大きなウェイトを占めている超重要科目です。
民法は「第1編 総則」「第2編 物権」「第3編 債権」「第4編 親族」「第5編 相続」から構成されています。
試験では特に債権から多く出題されます。
民法で出題される11問のうち約半分は債権であることが大半なので、必然的に勉強の中心になっていきますね。
行政法
出題数 | 配点 |
22問 | 112点 |
行政法は行政書士試験で最重要と言える科目です。
配点が112点と全体の1/3以上とウェイトが重いですが、難易度はそれほど高くありません。
行政法は点の稼ぎどころです。
ここを得意科目にできれば合格は一気に近付きます。
ただ、行政法が大事だからと言って民法より先に勉強するのは辞めてください。
というのも、行政法の試験問題では「民法では~~だが行政法では~~?」という出題のされ方があります。
宅建士などで民法をすでに勉強したことがある人は問題ないかもしれませんが、初めて法律資格を勉強する人は必ず民法から勉強しましょうね。
商法(会社法)
出題数 | 配点 |
5問 | 20点 |
商法(会社法)は出題範囲が広い上に難易度が高いですし、配点が20点と少なめなので深追いすべきではない科目です。
商法は商取引のルールをまとめた法律です。会社法はその中で会社組織についてのものを抜粋したものです。
出題される5問のうち2問程度は基礎的な問題であることが多いので、余裕があれば基礎だけ押さえておくと良いですね。
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一般知識科目一覧
一般知識からは択一問題が14問出題されます。
他士業の試験ではあまり見られない、一般知識が問われるのが行政書士試験の特徴ともいえます。
配点は低いですが、4割以上得点できないと足切りがあるので軽視しすぎるのは危険です。
政治・経済・社会
出題数 | 配点 |
7問 | 28点 |
一般知識の中で最も配点が多く難易度も高い科目です。
基本的な用語やルールだけでなく、時事問題も出題されるので勉強する範囲が非常に広く、深入りは危険な科目です。
本番では1問だけでも正解できればOKな科目と言えるでしょう。
ただ、普段からニュースを見ているだけで回答できる問題もあるので、試験勉強をしている期間はニュースをしっかり見ていると思わぬ得点に繋がります。
情報通信・個人情報保護
出題数 | 配点 |
4問 | 16点 |
情報通信では情報化社会で弊害やその対処法を規定する法律や、インターネット関係の基本的な用語について出題されます。
個人情報保護では民間企業が個人情報を取り扱う際の規定である「個人情報保護」や、行政が個人情報を取り扱う際の規定である「行政機関個人情報保護法」から出題されます。
個人情報保護法関係の問題は試験で複数出題されることも多く、非常に重要視されている法律なのでおさえておきましょう。
文章理解
出題数 | 配点 |
3問 | 12点 |
文章理解は現代文の長文読解のような内容です。
レベルは決して高くないので、全く勉強しなくても3問全て正解できる科目です。
確実に3問をおさえ、足切りを回避するための土台にして欲しいですね。
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多肢選択問題について
出題数 | 配点 |
3問 | 24点 |
行政書士試験の多肢選択問題は、長文の中に空欄があり、20個の選択肢から正解を選ぶという問題です。
毎年、行政法から2問、憲法から1問出題されています。
多肢選択問題は1問8点の配点で、中身は2点×4個という構成です。
全問正解で8点ではなく、2点×正解数なので正解した分だけ部分点を稼げます。
記述式問題について
出題数 | 配点 |
3問 | 60点 |
行政書士試験では記述式の問題が3問出題されます。
内訳は行政法で1問、民法で2問です。
1問20点と高めの配点ですが、部分点が貰えるので少し間違ったからと言って0点にはならない仕様です。(ただし配点は非公開)
選択問題と違い、正確な知識が求められるのが記述式問題です。
過去問を使いコツをつかむまで文章力や基礎知識を鍛える必要がありますね。
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科目ごとの難易度比較
行政書士試験で難易度が高い科目は「基礎法学」「商法(会社法)」「政治経済社会」の3科目です。
ただ、難易度が高いからといって「合格するために本気で取り組む必要があるか?」という観点から考えると本気で取り組む必要はないと言えます。
試験勉強の基本は出題数が多くて難易度が低い科目を重点的に勉強することです。
試験によっては難易度が高い科目を避けられないこともありますが、行政書士試験は「行政法」と「民法」をしっかりおさえておけば合格できるよう設計されています。
また、一般知識で足切りを受けないために「情報通信・個人情報保護」「文章理解(勉強しなくてもいけるかも)」も手を付けておきましょう。
がむしゃらに満遍なく勉強するのではなく試験の特性を理解した上で勉強しはじめることが重要ですね。
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行政書士の試験科目まとめ
まとめ
①法令に力を入れ一般知識は足切りが回避できれば良い
②行政法と民法を中心に勉強する
③記述式を意識しながら正しい知識を身に着ける勉強法が大事
行政書士の試験科目についてまとめました。
科目ごとに出題数も難易度も全然違うのが行政書士試験です。
いかに短時間で点数を上げられる科目に注力するかが大切になります。
少しでもムダな時間を減らし効率的に合格を目指しましょう!
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