・行政法の勉強法ってどうすれば良いの?
・行政書士試験の重要科目なのはわかってるけどイマイチ理解できない…
行政書士試験に合格するために、避けて通ることができないのが行政法です。
これまで法律の勉強をしたことのない人にとっては、馴染みの薄い法律である上に、憲法や民法に比べて無味乾燥な印象が強く、かといって暗記ですべて乗り切るには無理のある分量であるため、途中で挫折しやすい科目といわれています。
そこで、独学で行政法を攻略するための非常にシンプルな勉強法をまとめました。
行政法とはどんな法律か?行政書士試験で問われる行政法の特徴!
行政書士試験のメイン科目として位置づけられている行政法ですが実際には「行政法」という独立した法律が存在するわけではありません。
現行の法律の中で、行政に関するものをまとめて行政法と呼んでいるだけです。
したがって、行政法に分類される法律を1つ1つ列挙していくと、その数は膨大な量になります。
しかし、行政書士試験にそのすべてが出題されるわけではありません。
試験で扱われる行政法は、行政法の一般的な法理論・行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法・国家賠償法・地方自治法と、明確に範囲が決められています。
当然、資格スクールや通信講座、書店で販売されている行政書士対策用のテキストは、これらの範囲に沿って編集が行われていますので安心してください。
行政書士試験で問われる行政法の特徴は大きく分けて3つあります。
行政法は配点が最も大きい科目
まず1つめは、試験全体に占める配点の割合が最も大きいということです。
行政書士の試験は、法令等科目が244点分、一般知識等科目が56点分出題される、合計300点満点の試験です。
行政法は、法令等科目から出題され、設問別に分けると5肢択一式問題から76点分、多肢選択式問題から16点分、記述式問題から20点分の合計112点となります。
法令等科目は244点満点ですから、行政法の占める割合は約46%、実に半数近くが行政法に関する問題ということになります。
したがって、合格するためには行政法が得点源になってる必要があります。
難問が少ない難易度が低めの科目
2つめは正答率の低い、いわゆる難問とされる問題が少ないことです。
民法や会社法では正答率が低く、正解できなくても仕方がないという問題が混ざることが多いですが、行政法に関しては基本的な内容が多く出題されるため、正答率も高い傾向があります。
実際、合格を目指す人は8割~9割の得点を目標にしている人も大勢いるのが行政法なのです。
指定範囲からまんべんなく出題される
3つめは、出題内容が細かいということです。
行政法で出題される法律の範囲は決まっていますが、その中で問われるのは細かい知識であることが多く、選択肢も似たような条文と混ぜた状態で出題されるので、確実に理解していないと正解できないようになっています。
したがって、なんとなく全体を理解できているというレベルでは行政法で高得点を取ることはできません。
また、出題分野に偏りがなく、指定された範囲の中からまんべんなく出題されるのも受験生にとって悩ましい点です。
行政法の勉強法を考える前に戦略として知っておくべきこと
行政法を本格的に勉強する前に肝に銘じておいた方がいいことが1つあります。
それは、色々なことに手を出さないということです。
巷には行政書士試験対策用のテキストや問題集が数多くあります。
どれも合格には必要なものに見えますし、全部をやり切らなければいけないような気持ちになる人もいるでしょう。
しかし、やることの種類が多いということと、それぞれに個別の使い方があるという複雑さが、人を挫折させやすくするのも事実です。
実際、行政書士試験の受験率は80%を下回っています。
これは、試験当日に20%以上の人が欠席をしているということを意味します。
大事な試験の当日に20%以上の人が一斉に病気になったり、どうしても外せない用事ができたりするということは考えにくいので、試験の申し込みはしたものの、合格の可能性が感じられないことを理由に欠席したという人が一定数いるということでしょう。
また、合格率に関しても毎回10%前後ですから、準備が不十分な状態で試験に臨んでいるという人も多いことがわかります。
こうした状況を考えると、まずはやることを徹底的に少なくすること、そしてやり方を思いっきりシンプルにすることが必要となるのです。
使用する教材は1つに絞って勉強しましょう。
法律を初めて勉強する人であれば、基本テストに『資格スクエア 行政書士』をおすすめします。
このテキストの大きな特徴は、法律用語に慣れていない人でも理解できるような説明に徹している点です。
1つの条文でも、抽象的でわかりにくいようなものは具体例を交えながら2度、3度と言葉を変え、口語体で何度も説明してくれているので、暗記に頼らず理解することができます。
また、「一般的な感覚からすると違和感があるかもしれませんが、この法律の考え方は~」といった具合に、初心者の素朴な疑問にも丁寧に答えているのが魅力です。
試験範囲の網羅性も問題ありません。
ちなみに問題集を別に購入する必要はありません。
なぜなら問題集はそれぞれの問題集ごとのクセというものがあります。
そして、過去問にも過去問特有のクセがあるものです。
問題集を繰り返し解くことによって、実力が鍛えられるのは事実ですが、その際にどうしてもその問題集のクセも一緒に身についてしまいます。
すると、実際に過去問を解いた段階で、「問題集と感じが違う」といった違和感を覚えることがあります。
実際の試験で出題されるのは過去問のクセの方になるので、合格するためには新たに過去問のクセを身につけ直さなければなりません。
そうすると合格までの道のりがより複雑になってしまいます。
したがって、過去問を問題集として使用するのが効果的なのです。
問題集を使用するとしたら、テキストと過去問を徹底的にやり込んだ後、自信が持てない苦手分野があってその部分の知識を確認するために利用するといった方法がより効率的です。
実際の試験の時間配分や解く順番を過去問題で試したいという人は、予想問題で十分対応できるので、その場合は予想問題集を使ってください。
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行政法の勉強法はたったこれだけ!
行政書士試験は出題範囲が決められているので誰もが同じ内容を勉強することになります。
しかし、実際には合格する人の方が少ないのが現実です。
これは勉強の仕方に違いがあるということでしょう。
筆者がおすすめする勉強法は思いっきりシンプルですが、毎日机に向かってガリガリする必要がないので、途中で挫折する可能性を低くできると考えています。
具体的な勉強法は大きく分けて3段階です。
まずは、テキストを読むことから始めます。
このときテキストに線を引くことは一切せずに、ただひたすらに最初のページから最後のページまで読みます。
最後のページまで読み終わったら、最初のページに戻ってまた読む、これだけです。
この方法の良いところは、時間や場所を選ばないので、通勤時間やソファでゆったりしながらでもできる点です。
毎日読むページ数を決めて、わかってもわからなくても読み進めてください。
実際、筆者が最初に読んだときは、何1つさっぱりわからないというのが感想で、ただ文字を追っているだけの状態でした。
行政法は独特の言い回しや抽象的な表現が多用されているので、読みにくいと感じる人が多くいるそうです。
それでも、5回、6回と読んでいくことが非常に大切です。
繰り返しているうちに、理解できる部分が多くなり、読むペースも上がっていきます。そして、行政法がわかってきたことを感じたら次の段階に移ります。
次は過去問を解くことです。
過去問は数多く触れた方が感覚も身につきやすくなるので、10年分は解くことをおすすめします。
過去問を解く目的は、知識の定着と問題のクセを身につけることです。
したがって、年度ごとよりも法律の種類ごとにまとめられている過去問題集をおすすめします。
しっかりテキストを読み込んだつもりでも、最初は半分くらいの正答率しか出ないことが多いですが、気にする必要はありません。
注意すべきは、問題を解く際に、たとえ細かいことは再現できなくても、その内容がテキストに載っていたか、載っていなかったのかを瞬時に判断できるレベルまではテキストを読んでおくことです。
それができないうちは、読み込みが足りないと思って下さい。
解き終わったら、最後の段階に移ります。
最後は、テキストに線を引くことです。
過去問を解いた際、自信を持って正解できた問題以外は知識が未定着なので、テキストと照らし合わせます。
出題内容に関して説明されている部分を見つけたら、テキストの該当部分に線を引いてください。これをすることで、自分の理解が甘い部分が目立つオリジナルのテキストが完成します。
ここまでできたら、後はテキストを読む、過去問を解くということを繰り返すだけです。
何度もテキストを読むことで、条文の考え方や判例の根拠となる言葉も自然に覚えていくことになるので、記述式問題の対応力もついていきます。
行政法の勉強法まとめ
まとめ
①行政法は配点が高く・難易度が低く・出題の偏りが少ない科目
②テキストを1冊決めたらそれをやりこむほうが良い
行政法は範囲が広くどの分野からもバランス良く出題されるのが特徴です。
全体的な理解を深めるには、あれこれ手を出さずに、自分の信頼したテキストを徹底的に反復するのが簡単で確実な勉強法といえるでしょう。
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